森見登美彦「四畳半神話体系」を読んで
森見登美彦さんの「四畳半神話体系」。
遅まきながら、読みました。
この頃、kindle Unlimitedで森見さんの作品をそこそこ読むことができると発見しました。あの独特な語り口がクセになり、本作を図書館で借りた次第です。古風で硬い文章なのにするすると読めてしまいます。不思議です。
そんな文章に反して、内容はなんとも救いがたい阿呆なことばかり。主人公はこんなはずじゃなかったのに…と毎度後悔しますが、他の並行世界でも同じような展開なんですね。「もしも」の世界の結果に対する心情は変わらないのです。
それは、主人公にとっては悲劇的なことかもしれないけれど、私は明るくとらえることができました。
「もしも、あの時ああしていたならば」と我が身に当てはめても、結果に対する心情は変わらなかったかもしれない。結局は心の持ちようなのだ!
そう思いたいです。
森見さんのあの硬く止めどない文章とめくるめく展開に、常時刺激を与えられているようでした。類のない小説家です。どうやって生きてきたら、あのようなものが生み出されるのでしょう。小説家の方々には畏敬の念を覚えるばかりです。